保険診療と自由診療

アメリカでも国民皆保険制度は浸透するか?

アメリカは、世界から見ても特殊な「市場型」の保険制度を敷いている国です。国民皆保険制度がなく、国民は任意で民間の保険に加入するスタイルですが、未加入者の増加や医療格差の問題を解消するため、オバマ大統領は「医療保険制度改革」をおこなっています。


アメリカの保険事情

アメリカに存在する公的保険は、65歳以上を対象とした「メディケア」、そして低所得者や障害者を対象とした「メディケイド」の2つだけです。つまり若い世代のほとんどは、民間保険に加入するしかありません。

しかし当然ながら、収入の低い人では保険料の支払いが困難です。生活保護的な色の強いメディケイドも、母子家庭や失業者、障害者などが基本であり、中途半端に収入がある人では適用されないことが多いようです。アメリカでは子どもを含め、無保険の人が多いことが昔から社会問題となっていました。

また民間医療保険はビジネスですから、たとえば生活習慣病のように継続的な治療が必要な患者さんには更新をしたがらない会社もあるといいます。充実した医療を受けようと思えば、それだけ高額な保険料が必要になるのです。

つまり一部の富裕層だけが良い医療を受けることができ、それ以外の人は自分で何とかするしかない、というのがアメリカ医療の実情です。

そのためアメリカではセルフメディケーションの意識が高く、風邪くらいで病院にかかる人はほとんどいませんし、薬もドラッグストアで購入します。医療費を節約するため、処方薬もジェネリック医薬品を活用することが常識となっているのです。


医療保険制度改革とは?

医療格差が深刻化する中、バラク・オバマ大統領は当選前から国民皆保険制度への取り組みを掲げていました。その結果、2009年には「医療保険改革法」が議会を通過し、2010年に成立。オバマケアとも呼ばれます。

無保険者は、原則として2014年までに何らかの保険に加入すること、低所得者には上限を定めて差額分は政府が負担することを決定。未加入者には罰金を課すこととしました。 同時に、保険会社が加入を一方的に拒否したり、保険料を高額にしたりすることにも制限を設けたのです。

一見すると良い案だと思えるのですが、一方では「自由への介入だ」とする反対の声も強く、26州が連邦政府に違憲訴訟を起こしました。しかし2012年6月、最高裁は「合憲」とする判決を出し、オバマ大統領も11月に無事再選することとなりました。

2014年を過ぎた後、どれだけ無保険者がいなくなるかに注目が集まっています。