保険診療と自由診療

このままでは日本の保険制度が破たんする?

誰もが少ない負担で医療を受けられる、日本のありがたい健康保険制度。しかし今、そのシステムが経済的な危機を迎えていることをご存知ですか? 少子高齢化がますます進む中、このままではいずれ深刻な事態に発展するかもしれません。


国の税収のほとんどが、医療費に使われている現状

私たちは病院へ行くと、3割(人によっては2割)の負担で治療を受けることができます。では残りの7~8割はどこから出ているのかというと、その人が加入している保険組合からです。

もともと健康保険制度は「相互扶助」の考えから成り立っていますので、みんながそれぞれ保険料を毎月納めて、誰かが病気になった時にそこから出し合うシステムになります。

しかし実際は、保険料ですべての医療費を賄うことは難しいのが実情です。特に少子高齢化が進む今、保険料をたくさん納める若い世代が減っている一方、病院にかかる高齢者は増加の一途をたどっているからです。

それでは保険料で足りない分はどこから出るのかというと、税金(社会保障費)になります。こちらからの支出は増えるばかりで、たとえば2012年には38兆4000億円にも上りました。この額は10年連続で増加しており、毎年「過去最高」と発表されているほどです。

ちなみに国の税収はおよそ40兆円ですから、そのほとんどを医療費に費やしている計算になります。2014年に消費税率が8パーセントに上がったのも、医療費による税金のひっ迫が大きな原因だったのです。


国民1人ひとりが、医療費の節約を

「このままでは、日本の健康保険制度が崩壊してしまう」-そう懸念する専門家はたくさんいます。何とか賄うために消費税率は今後も上がり続けるでしょうし、私たちの支払う保険料や窓口負担分も、増加を余儀なくされてしまうでしょう。

その結果、「保険料を支払えない人たち」が続出する可能性も指摘されています。実際、今の段階でも保険料が高額すぎて滞納している人は非常に多いのです。すると日本もアメリカのように、「お金のある人だけが医療を受けられる国」になってしまうかもしれません。

日本人の健康に大きく貢献してきた保険制度を、これからも守るためには、私たち1人ひとりが「医療費の削減」の意識を高める必要があります。国が何とかしてくれることを期待するばかりではなく、国民も節約に協力しなければいけないのです。

それが、たとえばジェネリック医薬品の活用であったり、セルフメディケーションだったりします。少しでも薬価の低い薬に切り替える、普段から病気にならない生活を心がける、コンビニ受診はしない…こういったことを国民みんなが実行すれば、医療費の削減につながるはずです。

世界の中でもトップレベルといわれる日本の保険制度を、ぜひ私たちの手で守っていきましょう。