保険診療と自由診療

盲腸にかかる世界の医療費比較

日本の医療保険の制度は、世界でもまれに見る優良な制度で、国民全員が所得に見合う金額で良質な医療をさまざまな病院で受けることが可能となっています。 このシステムにより、国民全体の健康レベルも高いとされており、低所得者や高齢者が安心して暮らせる国となっています。

しかし、安価で高度な医療を受けていることに対する「慣れ」から、ささいな不調ですぐ病院を訪れる、いわゆるコンビニ受診や、緊急でもないのに救急車を呼ぶなど、患者側のモラルの低下により救急や病院を疲弊させている現状が問題となっています。

世界と比較すると、日本の医療は全体的に安価で、しかも医師、看護師のスキルはトップレベルとも言われていますが、それを国民が意識することは少ないのではないでしょうか。 今回は、盲腸の手術をした場合の金額を世界と比較し、日本の医療のレベルを考察してみましょう。


盲腸による手術費比較

盲腸は比較的多い疾病で、誰しもかかる可能性のあるものですが、治療費は高額になりやすい疾病の一つです。 日本で盲腸の手術を行うと、平均で40万円程度かかりますが、これは世界と比較すると安価な部類に入ります。

日本より安い国は、タイのバンコクで5万円強、イギリスの公営病院で13万円程度となりますが、イギリスでは病院によって手術費用はさまざまで、高いところでは170万を超える高額な請求をされる場合もあり、さらに健康保険が使える病院は一人に1つと定められている場合がほとんどのため、実際の負担は日本よりもずっと高額になります。

タイも同様、病院によって金額は大きく異なり、市立の病院では上記の3〜5倍の金額が必要となるようです。 また、中国も手術費用は4万円〜9万円程度と定められていますが、このほかに医者のレベルによる加算金が発生し、さらに医者にワイロを送る慣例があるため、実際の金額はかなり高額になるようです。

手術費用が日本と同額程度かかるのはフィリピン、ブラジルあたりとなりますが、これらの国の物価を考えれば、金額が同額だということは、その負担感は非常に大きいと考えられます。 その他、ロシアでは60万程度、インドネシアで80〜90万程度、フランスは86万円程度と、いずれもかなり高額となります。

さらに高額になる国としては、オーストラリアで102万円強、カナダで110〜180万円、世界でも医療費が高額で有名なアメリカでは、安いところでも160万円、最も高額なホノルルでは250万円を超える手術料が必要となります。


日本の医療を支えているもの

一般に、世界のほとんどの国で入院費は日本より高額で、救急車も有料になっている国の方が多いことを考えれば、日本の医療費は世界と比較して非常に格安なうえ、国民皆保険によってその3割だけを負担すればよいというシステムは非常に恵まれているといえます。

これらのシステムを全力で支えてくれているのは日本の医療従事者ですが、特に近年では患者数の増加による医者の過酷な勤務体制が問題となる場合が多くなってきました。 また、救急車は無料ですが、1回出動すれば45000円のコストがかかるとも言われています。

ささいなケガや病気のときに、気軽にタクシー代わりに救急車を呼ぶような人も増加しているようですが、モラルのない人が増えれば、救急車も有料にせざるを得なくなり、本当に困っている人をさらに圧迫してしまうことになる可能性もあります。

世界トップレベルの医療体制を長く維持するために、国民一人一人がモラルを持ちたいものです。