保険診療と自由診療

自由診療から保険診療へ転換された治療

社会情勢の変化や医療の進歩により、これまで自由診療として全額自己負担であった治療が保険診療へ転換され、医療費の心配をせずに治療を受けられるようになる場合もあります。


高度先進医療から保険診療へ

医療の発達に伴い、ガンの治療にはさまざまな選択肢が出てきました。 なかでも、ガンの病巣にピンポイントで陽子線を当てて破壊する陽子線治療は、副作用が少なく、治療効果も高いと注目されるものです。しかし、その治療にかかる費用は約300万円と高額で、しかも保険適用とならないために全額自己負担となるため、受けたくても受けられないという人が少なくありませんでした。

この陽子線治療が、小児ガンに限り保険適用に変更されました。あわせて、骨軟部腫瘍の重粒子線治療も保険適用となっています。

ガンは世界中の人にとって大きな問題で、その克服についても日々たゆまぬ研究が続けられているため、次々と効果の高い治療薬や治療方法が発表されますが、それが保険適用となるまでには、実証データが十分に揃わなければならないなど、長い道のりがあります。

しかし、効果の高い治療法は時間がかかっても保険適用になる可能性は高いといえるでしょう。


乳房の再生も保険適用に

乳がんを患う女性はかなり多く、ガンが進行し乳房そのものを全摘出せざるを得ない人も少なくありません。

しかし、乳房を失うことは女性にとっては大きな問題で、精神的に多大なダメージを受け、家に閉じこもりがちになるなど、社会生活を円滑に行う上で大きな障害となるケースが多いと報告されています。

このことから、以前は美容整形として保険適用外であった乳房再生手術は保険適用に変更となり、乳がんで乳房を摘出する患者に明るい光を投げかけることとなっています。

乳房再生治療として保険適用となったのは、ラウンド型シリコンインプラントなど、特定の種類の人工乳房となります。

この人工乳房の手術は、片側で60万円から100万円程度かかる高額の治療ですので、保険適用となることで経済的な負担が大きく軽減されることとなり、費用がネックとなり手術を受けられなかった女性にとっては非常に嬉しい変更となりました。

ただし、この手術は認定を受けた医療機関でなければ保険適用とならず、さらに全摘出手術後の乳房再建の場合に限り適用されます。

この変更は、全国で多くの署名を集めた女性の努力の賜なのですが、このように国民から多くの声が上がるような場合、自由診療から保険診療へと変更されることがあります。


わきが手術が保険適用に!

わきがは遺伝による体質の一つで、厳密に言えば病気ではありません。 しかし近年、日本では体臭についてやや過剰に嫌悪する傾向が高く、わきがによって学校や会社でいじめに遭うようなケースが次第に増加しているという現状があります。

また、わきがのニオイは他の体臭とは違い、本人がどれだけ気を遣っていても完全になくすのは困難です。 このため、わきがが原因で精神的に追い詰められ、うつ病を患ったり引きこもたりしてしまう人は少なくありません。

わきがは、それ自体は病気ではありませんが、精神的な病の原因の一つとなり得るため、保険適用が認められるようになりました。

指定を受けた病院で、指定の手術方法のみで適用されることはインプラントの場合と同様ですが、これは社会情勢の変化を受けて保険適用となった手術の好例といえます。