保険診療と自由診療

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保険適用されない薬とは?

保険診療は医療行為だけではなく、薬に対しても適用されます。保険適用の薬は3割負担で購入することができますが、自由診療処方の薬は全額自己負担です。
海外ではすでに有効な治療薬として流通している薬でも、日本ではまだ未承認となっているものも多く、患者側からつねに批判の声が上がっています。


保険が適用されない薬の例

自由診療の薬とは、日本の薬事法上、承認を受けていない薬です。たとえば避妊目的のピルのほか、男性のEDや脱毛の治療薬、美容目的の薬など、「特定の病気を治療するものではない」薬の多くが該当します。

ただし、原則は適用外のものでも保険がきくことがあります。たとえばホルモン療法(HRT)では、更年期症状や骨祖しょう症の治療の場合は保険適用となりますが、予防目的や若返りなどのためには適用されません。

その他、まだ日本で十分な治験がおこなわれておらず、認可が遅れている新薬も数多く存在します。そのような場合、新薬を必要とする患者が全額自己負担で個人輸入する例も多くみられます。

さらに、薬本来の目的以外のために処方する「適用外処方」も、保険診療の対象となりません。たとえば胃潰瘍や十二指腸潰瘍の治療に使われる「H2ブロッカー」という薬は、あくまで消化性の潰瘍に処方されるものと決められていますが、実際は非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)が原因による潰瘍にも処方することがあります。

一定の効果が認められているものの、これは本来の使い方とは違うということで、保険適用にならないのです。どの薬にもそれぞれの使用目的が存在し、それに合わせて処方しなければ保険がききません。


日本におけるドラッグ・ラグ

つねに問題視されているのが、日本での新薬認可の遅さです。海外との認可スピードの差を「ドラッグ・ラグ」と呼び、日本はかなり遅れをとっていることはよく知られています。

その背景としては、認可に必要な治験のシステムの違いが考えられます。まず、新薬の審査をおこなう担当者の数が少ないこと、公的保険制度が充実しているため治験に参加する患者が多くないこと、治験に尽力した医師を評価する体制がなく、積極的に協力する医師が少ないこと、などが原因として考えられます。 その結果、日本では新薬の開発から実際の販売まで、約4年もかかるとされています。

しかし最近では、国と医療界がともにドラッグ・ラグを解消しようと動き出しており、医師の治験参加も進んでいますし、治験コーディネーターという職業の活躍などもあって、事態は良いほうへと変わりつつあります。

今後もさらに治験システムが改善され、未承認薬を必要とする患者が1日も早く保険適用で手に入れられる日が来ることが期待されます。