保険診療と自由診療

漢方薬には保険が適用される?

数ある医薬品の中でも、東洋医学にもとづいた漢方薬は、少々微妙な立ち位置にあります。公的な保険が適用される薬は基本的に「特定の症状や病気を改善するもの」であるのが原則です。そのため体質改善を目的とした漢方の処方は認められておらず、自由度が低いという問題があります。


西洋医学ありきの処方

漢方薬にも保険適用の薬は多くあります。1967年、当時の日本医師会会長だった武見太郎氏の尽力もあり、漢方薬にも「薬価」(国が決定する薬の公定価格)がつけられることになりました。

現在、日本で保険適用の対象となる漢方薬は約150種類あり、また煎じ薬として使われる生薬も200種類以上が認められています。 西洋医学の薬と同様、医師の処方にもとづいて調剤薬局などで購入が可能です。

ただし東洋医学では「未病」という考え方があり、「特定の病気ではないが完全に健康でもない」状態に対して漢方を処方する文化があります。また「体質改善」も漢方の大きな役割で、病気にかかりにくい体をつくるという概念が根底に流れています。 公的な保険では、基本的に病気治療の薬のみが対象となるため、いわゆる予防目的では漢方を処方できないのが現状です。

あくまで西洋医学の一環として漢方を処方する、というのが日本の医療業界では暗黙の了解であり、東洋医学本来の使い方ができない場合も多いようです。


漢方にこだわる医師は保険適用を使わない?

このような背景から、漢方を専門とする診療所やクリニックの中には、あえて健康保険を適用しないところも多くみられます。特定の病名をつけないと漢方を処方できないという制限に反発し、自由診療のみで対応する医師も多いのです。 そのため、漢方で有名な病院にかかったら、全額自己負担だったという経験のある人も多いと思われます。

自由診療なら、医師自身の責任のもと、患者にとって最適と判断した漢方薬を自由に処方することが可能です。漢方にこだわればこだわるほど、保険制度は足かせになるのでしょう。 3割負担で漢方薬を購入したい人は、あらかじめその病院が保険診療をおこなっているかどうかを確認してから受診することをおすすめします。

ちなみに漢方薬にはジェネリック品が存在しません。有効成分が生薬であることと、同じ漢方薬でもメーカーによって生薬の配合比率や分量がまったく異なるため、「同じ成分を同じだけ」というジェネリック医薬品は作ることができないのです。