保険診療と自由診療

混合診療ってどんなもの?

混合診療とは、ある医療を受ける際に、保険診療の分は健康保険で、自由診療の分は自費で払うことで「費用が混合すること」を指します。 日本では原則として禁止されていますが、実際はおもに歯科などでおこなわれており、黙認されている状態です。


なぜ混合診療は禁止されているのか?

通常、保険診療で受けられるものについては、患者が医療費を自費負担することは認められていません。例外として、個室に入院した際の「差額ベッド代」や、新しい高度な手術を受ける際などのごく一例のみ、別途費用を徴収することが許可されています。

混合診療が禁止されている理由としては、おもに以下の3つが挙げられます。

1.医療の平等
国民皆保険制度は、全国民が平等に医療を受けられることを目的としたものです。
混合診療を認めてしまうと、一部の富裕層のみが高度な医療を自由に受けられることになり、「医療格差」が生じる可能性があります。

保険診療はあくまで、患者が受ける一連の医療行為が健康保険の対象であることを前提としたものですので、一部のみを自費負担で、というのは保険制度の趣旨に反するとされています。
自由診療を受けるなら、本来は保険診療の部分も全額自己負担にするべきというのが、原則的な考えです。

しかしそうなってしまうと多額の費用がかかることから、高度な医療を受けたい人たちにとっては負担が大きくなってしまいます。何とかお金をためて、家族に少しでも良い医療を受けさせたいというささやかな望みも叶えられなくなることから、問題視されているのは確かです。

2.医療の質
2つめの理由は、自由診療の安全性や有効性の問題です。
健康保険で受けられる医療行為は、国内において十分な審査やチェックがおこなわれ、治療効果が認められていますが、自由診療の場合はまだ不確定とされています。

副作用や事故なども考えられるため、健康保険で医療行為をまかなってしまうのは危険と考えられているのです。

3.医療費の増加
そして3つめの理由が、混合診療が解禁されることで予想される医療費の問題です。

もしも混合診療が認められれば、科学的根拠に乏しい怪しげな医療や、安全性に欠けた医療が爆発的に増え、それらをまかなうために健康保険が一部適用されることになります。
さらにその医療行為が原因で患者に何らかの健康被害が生じた場合、その治癒のためにまた保険が適用される可能性があるのです。

国家財政的にも、混合診療は許可できないということでしょう。


歯科における混合診療

しかし実際は、たとえば歯科でセラミックなどの詰め物をかぶせる際、虫歯の治療は保険診療で、セラミックの素材分だけを自由診療で、ということが普通におこなわれています。これは厳密には混合診療ですが、いわば合法化されているのが現状です。

混合診療の禁止は、さまざまな立場から賛否両論があり、今後どうなっていくかが注目されます。