保険診療と自由診療

ついに混合診療が解禁!そのメリット、デメリットは?

これまで、一部の先進医療のみで認められていた混合診療が、2016年4月、ついに患者側からの申し出で可能となる制度が定められました。 混合診療とは、一つの病気の治療で自由診療、保険診療を混合して受けることです。

これまでは、一部の先進医療以外では混合診療が禁止となっていたため、自由診療を一つでも治療に組み込むと、治療にかかるすべての行為が自由診療とみなされ、保険が利かなくなり、特にガンなど長期入院患者では治療にかかる金額が莫大になるという問題がありました。


混合診療のメリットとは?

自由診療は、その治療そのものが高額であることが多く、さらには保険が利かないので、その全額を自己負担で賄うこととなります。 そればかりか、これまでは保険適用であった入院費、検査費などがすべて保険適用から外され、自由診療として計算されることになります。

高額療養費制度によって一定金額以上は支払わなくてもよい保険適用との差は非常に大きく、良いと分かっている治療でも自由診療のものを受けることに躊躇する患者は非常に多いと考えられています。

今回、患者が規定に則って申し出をすると、6週間以内に安全性などが審査され、審査が通れば自由診療を受けても保険適用部分はそのままに残すことが可能となったわけです。 患者にとっては非常にありがたい制度ですが、将来を見越して考えた場合、デメリットがあることも指摘されています。


混合診療のデメリットとは?

これまで、各製薬会社は病院で広く薬を使ってもらおうと、新しい薬を保険適用にするために面倒な手続きを行っていました。

しかし、混合診療が認められれば、わざわざ手続きを踏んで保険適用にしなくても良い薬であれば、自由診療で薬を使ってもらえる可能性が高くなります。

そのため、製薬会社が保険診療にこだわらなくなり、患者は薬を実費で支払うことを求められるのが一般的になるのではないかという懸念があります。

日本人にとって、薬は3割負担で手に入れることが当たり前で、薬代が高いと感じることも少ないため、この問題がピンとくる人は少ないかもしれません。

しかし、特にガンで用いられる抗がん剤などは非常に高価なものが多く、中には1ヶ月の治療費が700万円を超えることまであるのです。

保険適用であればこの薬も3割の負担ですみ、さらに高額療養費の制度を使えば1ヶ月の支払いは10万円を切ることとなります。しかし、これが実費負担となれば医療が高額なことで有名なアメリカ並みの支出が求められることとなり、場合によっては持ち家を売却しなければ治療を継続できないといった事態にもなりかねません。

また、治療方法に関しても、これまでは患者からの強力な要請に後押しされて自由診療から保険診療へ転換されるものが多かったのですが、混合診療が解禁されたことによって、この転換がスムーズに行われなくなるのではないかという懸念もされています。

保険診療の場合、治療が高額になればなるほど、国の負担は増大します。医師も患者も、負担が大きく増えることはありません。

医療費が40兆円を超える現代では、高額になる治療方法に関して国が保険適用に転換するのには慎重な態度をとるのも無理はないのかもしれません。

日本では、これまでは収入に関係なく誰もが安心して高度な医療を受けられるのが一般的でしたが、混合医療が常態化すると、医療格差がどんどん広がる可能性があるのです。 今後の動きに関しては、国民も注意して見守りたいものです。