保険診療と自由診療

治療から予防へ

国家予算を圧迫するほど増大し続ける日本の医療費。 日本は国民皆保険制度を採用しているため、「コンビニ受診」「ドクターショッピング」と言われるほど、気軽に医療機関を訪れる人が多いことが拍車をかけているのでしょう。

こうした風潮を改善するための啓蒙活動に加え、医療費削減のためにさまざまな政策が施行されています。


自己負担額の増加は医療費増大対策?

今から20年ほど前は、社会保険(現在の協会けんぽ)と国民健康保険では自己負担額が異なっていました。 社会保険の被保険者本人であれば1割負担でよく、国民健康保険の被保険者と、社会保険の被保険者の家族は現在と同じ3割負担だったことを考えると格段の差ですよね。

また、70歳以上も1割負担または1ヶ月にごく少額の負担金を支払うだけでかかり放題だったためか、どこの医療機関も待合室は老人で一杯だったものです。 こうした時代が長く続いたことで医療費は莫大な額となり、健保組合の中には折からの不況が重なって財政難から解散するところも出てきました。

国は事態を憂慮し、まず社会保険の被保険者本人も3割負担とし、70歳以上についても段階的な値上げを実施。 これにより医療費の削減だけでなく安易な受診を減らす狙いもあったようです。


ジェネリック医薬品の推進

日本は国民一人当たりの医薬品の購買額が世界第3位という多さでありながら、2013年の調査ではジェネリックの普及率は30%にも満たないという結果が出ています。

つまりそれだけ医療費はかさむということ。 ジェネリック医薬品とは特許期間が満了した成分を使用して他のメーカーが製造販売するもので、後発医薬品とも呼ばれます。

本家よりも開発費がかからない分30%ほど価格が抑えられるのが特徴で、最近では医療機関でもジェネリックに置き換えられるものはその旨を打診されるようになってきています。

2014年にはED治療薬のバイアグラもジェネリックが解禁となりました。診察から薬代まですべてが自己負担となるED患者にとっては嬉しいことですね。 日本人はブランド志向が強いためか、有名な医薬品メーカーのものでないと不安という声も聞かれますが、内容や効果についてはほとんど変わりません。 どうしてもという時は医師や薬剤師に徹底的な説明を求めてもよいでしょう。


世の中は「予防医学」へ

日本だけでなく世界的に見ても、近年は病気になってから治療する「治療医学」から健康で病気にかかりにくい体を作る「予防医学」へとシフトしつつあります。

日本では生活習慣病を予防するための「メタボリックシンドローム」の定義がこれにあたるでしょう。 将来、重大な疾患となりかねないさまざまな兆候を発見し、食生活や運動で改善することで発症を防ごうとするものです。

その目的の一つに医療費の削減があることは確かですが、生活習慣病やそこから発生しかねない疾患にならないよう一人一人が自分の生活を振り返るきっかけづくりになっていることは間違いありません。

しかし、国の医療費が増大しているからと言って体調不良を我慢することはまったくありません。 健康保険による適切な医療を受けることは国民に認められた権利です。 本当に必要な人が憂いなく医療機関を受診できるよう、健康保険制度は維持されるべきなのです。