保険診療と自由診療

一般人にはわからない?「診療報酬」とは

診療報酬の計算はただ合算すればよいというものではなく、さまざまな取り決めがあります。 例えば、同じ日に同一の検査を測定方法を変えて行った場合、どちらか一方しか算定できません。もう一つは自己負担ということになります。

また、包括項目(通称「まるめ」)と言って、健康保険を適用できる検査項目数の上限がきまっているものもあるのです。

そのため計算方法は極めて複雑で、長年窓口の会計処理が滞る原因ともなっていました。


診療報酬の計算は夜なべ仕事だった

現在50歳以上で、医療機関の窓口業務に従事した経験のある人に尋ねると、診療報酬請求明細書の作成がいかに大変だったかを知ることができるでしょう。

何しろ昔はすべてが手作業の上、患者一人に対して一枚書き起こすのが基本です。大きな病院となれば、その数は1000枚単位にもなったといいます。

医師が患者を診察しながら専門用語を使ったり殴り書きのように書いたカルテを解読して、処置や処方した薬剤、注射の内容などから点数を調べて明細書に書き込み、計算するのですから、一人分を完成させるにも膨大な時間が必要でした。

しかも、月末締めなのに翌月10日までに支払基金に提出しなくてはならないという過密スケジュール。日常業務をこなしながら勤務時間内に処理することは物理的に不可能ですよね。

そこで仕方なく、事務員ばかりか看護師までが毎日夜中まで診療報酬請求明細書の作成を行う…こんな光景はどこの医療機関でも見られたそうです。

中にはこの時期だけアルバイトを雇うところもあったため、ひと頃は割のいい仕事として人気がありました。


電子カルテの導入で飛躍的に簡略化

しかし、そんな煩雑な作業も、電子カルテの導入によって一気に簡略化されました。 それ以前からレセプトコンピュータという、診療報酬点数計算に特化した端末はあったのですが、カルテを見ながら入力する形式だったため、あまりメリットを感じられなかったようです。

その点、電子カルテは医師が診察の合間に処置や薬剤の処方などを打ち込めば即座に計算が完了するため、飛躍的な時間の短縮が可能になりました。

かつては診察までに待たされ、終わったら終わったで会計に時間がかかる、という、体調の悪い時にはかなり辛い状況が当たり前だったのですが、電子カルテによってそうした問題はかなり緩和したと言えるでしょう。

もちろん患者の個人情報や体温、問診といった情報は入力しなくてはなりませんが、これを事務員が行えば、院内ネットワークで共有することで医師が閲覧したり書き込むことができるので、事務処理がぐっとスムーズになったことは間違いありません。


しかしその一方でこんなことも…

こうして見ると電子カルテの導入はいいことづくめのようですが、やはりデメリットも存在します。 特に最近の若い医師に多いのが、終始パソコンの画面を見ていて患者に向き合ってくれないというもの。 患者としては不安になりますよね。

そして診療報酬点数計算の詳細が、医療事務員でもよくわからないということです。診療報酬点数表は見方を知っていなければ、理解することが難しいのですが、電子カルテが計算してくれるようになったことでこの点が不充分になってきているようです。