保険診療と自由診療

福祉に手厚いスウェーデンの医療事情とは?

高福祉の国として知られているのがスウェーデンです。高齢者福祉の充実はもちろん、教育費も無料。もちろん医療費も実質無料に近いのですが、日本と同じく国民の高齢化が進む中、制度の維持もなかなか難しくなっているようです。 また病院にかかるのにも意外と大変な苦労があるのだとか…。


スウェーデンの医療事情

スウェーデンでは、1年間あたりの医療費に上限が決められています。1人900スウェーデンクローナで、現在のレートでいうと12,000円程度となっています。 月ではなく年の上限ですから、実質タダといっても過言ではないでしょう。

ただしその分、消費税も25パーセントと、日本と比べるとかなり高いことはよく知られています。日本では10パーセントに引き上げるのですら段階を踏んで何とか、という状態ですが、北欧では25パーセントという数字に国民も納得しているようです。それだけ自分たちに返ってくるものも大きいからだと思われます。

しかしスウェーデンでは、病院にかかろうと思っても時間がかかるという事情があります。まず電話で予約をとる必要があるのですが、スウェーデンでも医師不足が深刻化しており、どんなに高熱にうなされていても予約がとれるのは3日後、ということもあり得ます。そんなスウェーデンでは「首相に会うより医者に会うほうが難しい」なんていうジョークもあるほどです。

日本でも「3時間待ちの3分診療」といわれますが、その日のうちに診てもらえるだけマシといえそうです。実際、スウェーデンから日本に来た人の中には、日本の医療体制のほうがずっと良いと感じる人も多いといいます。


保険加入で繰り上げ診察!

そんなスウェーデンにも民間の医療保険があります。医療費がほぼ無料のため、加入者はそれほど多くなかったのですが、近年は増加傾向にあるそうです。

そこにも、病院にかかるまでの待ち時間が関係しています。医療保険で対象となっている病院へ行くと「繰り上げ診察」してもらえるのです。以前まで国営の病院しかなかったスウェーデンでも、近年は民間のクリニックが増えており、より良いサービスで患者の確保に努めています。医療保険に入っていない人は、相変わらず待ち時間の長い国営病院にかかるしかないというわけです。

これは、同じく医療費が無料のカナダなどでも起こっている現象であり、一部の富裕層は民間の医療保険に加入して待ち時間を短縮しています。「もっとお金を払うから、早く診察してくれ」ということですね。

つまり医療費が無料というだけでは、かならずしも全国民が充実した医療を受けられるわけではないのかもしれません。日本でも事情は異なりますが、TPP参加によって医療格差が開くことが懸念されています。所得に応じて受けられる医療が変わってくることは、どの国でも共通の問題といえそうです。