保険診療と自由診療

医療費は一律?包括払い制度とは

増大の一途をたどる医療費の問題について、国は手をこまねいているわけではありません。 自己負担率や健康保険料を段階的に上げたり、本来2割負担の後期高齢者(75歳以上)でも現役世代並みの収入がある人は3割にするなどさまざまな対策を講じ、実施しています。

別項で挙げたジェネリック医薬品の推進や、健康に関する啓蒙活動もその一環。 その他に、健康保険についても変更や見直しが進められています。


包括払い制度は医療費の削減につながるか?

日本の医療費は治療や処置一つ一つに診療報酬が発生する「出来高払い制」によって算定されますが、2003年より特定機能病院に限って、疾病によって決まる「包括払い制」となっています。

これは診断群分類と呼ばれる、病名によって診療報酬が決まるものであり、検査など一連の必要な治療がすべて含まれることから、過剰な医療行為を防ぐ効果もあるとされています。

特定機能病院とは、高度かつ最先端の治療が可能であるとして厚生労働大臣から認定を受けた病院のことです。 一般的な病院としての機能を備えていることはもちろん、

 病床数400以上
 診療科10以上
 集中治療室・無菌病室・医薬品情報管理室を備えている
 紹介患者が来院者の30%以上

などの認定基準があります。 2015年現在、全国で84の病院が認定を受けていますが、地域の国公立大学病院であればまず認定されていると考えてよいでしょう。


包括払い制度のメリット・デメリット

この方法の最大のメリットは、従来の出来高払い制に比べてムダな医療を減らし、医療費を抑制するという点にあります。

これまでは医療行為を行えばその分上乗せすることができるため、検査の回数を増やしたり必要以上の薬を処方するなど、「問題ではないか?」としばしば論議されてきました。

特に自己負担金の少ない高齢者に対して、「薬漬け医療」と言われるほど多量の薬を出す医療機関が多く、現在はそうした残薬による事故の可能性も指摘されています。 その点においては包括払い制度は優れていると言えるでしょう。

しかし、あらかじめ診療報酬が決められているため、それ以上のことができない=治療が不充分になりかねないという両刃の剣的な側面があることも否めません。

最初に設定された診療報酬額から、かかった経費を差し引いた分が病院側の利益となるので、治療が長期間に亘るとそれだけ少なくなり、場合によっては持ち出しとなることも考えられるのです。 このあたりは経営の面からすれば難しいところなのですが、受ける側としては最適な治療を望みたいものですよね。

ちなみに、特定機能病院以外の医療機関では現在でも100%出来高払い制になっています。


包括払い制度でも不正請求が?

一見、初めから請求できる診療報酬が決まっている包括払い制度には不正の入りこむ余地はなさそうですよね。 しかし、実際にはアップコーディングという詐欺の一種が懸念されています。

これは特に入院患者に対して、病名そのものを偽ったり捏造することで診療報酬の請求額を増やそうとするもの。認定病院は入院費も診断群分類包括評価という基準によって1日当たりの費用が定額化されているため、こうした不正請求が行われる恐れがあるのです。